こがねっと。Vol.24
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ありますが、傷により体に負担をかけるという難点があります。一方、カテーテル治療は傷による負担がなく、高齢の方や心肺機能が低下して手術が不向きな患者さんに有効です。それぞれの治療に特性がありますので、手術治療と血管内治療のどちらも専門的に行う医師として、両方の知識と観点からすべての患者さんが最善の医療を受けられるよう努めています。脳神経外科疾患の要因はさまざまですが、加齢とともに血管は老化し、脳血管疾患を引き起こすリスクは高まります。脳動脈瘤は血管の壁が弱くなることで、風船状に膨らんだ瘤に血液が流れ込む疾患です。破裂すると、くも膜下出血の原因ともなります。未破裂の脳動脈瘤の治療は、クリッピング術といわれる開頭手術と、コイルと呼ばれる金属をつめることで破裂を防ぐ血管内治療(コイル塞栓術)などがあります。脳動脈瘤はこれまで脳の深い部分に発生した場合や、大きさによっては治療が困難とされてきましたが、脳血管内治療の発達により治療の可能性が広がりました。脳梗塞を引き起こす原因のひとつに、内頸動脈狭窄症(頸動脈の動脈硬化症)という病気があります。内頸動脈狭窄症は、血管の壁にコレステロールの塊ができてしまい、血管の通りが悪くなる疾患です。喫煙 ❸      カテ�テル治療は�患者さんにと�て負担の少ない手術です�脳血管内治療(カテーテル治療)は、血管内にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入して行う手術法のひとつです。開頭することなく血管の内部から治療をするので、患者さんにとって負担が少ないのが最大の利点です。当院では、緊急で治療が必要な患者さんの約3分の2が脳梗塞(何らかの原因で脳の血管が詰まる病気)です。その中でも、心臓から血栓(血の塊)が飛んだ場合などは、早期であればカテーテル治療により原因となっている血管内の血栓を取り除き、脳梗塞を回避することが可能です。治療が早ければ早いほど病状の悪化を抑えることができます。体の麻痺や呂律が回らないといった症状がでたら、ためらわずに1分でも早く救急車を呼んでください。カテ�テル治療と切開手術�両方の知識と観点から最善の医療を�開頭手術は確実な治療が行え、カテーテル治療に比べ再治療率が低いという利点が「正しく知る」ということ「脳神経外科治療に関するお話」2脳血管内治療とは、テーテル)に様々な治療器具を挿入し、脳血管に対する治療を行うことです。脳の血管に留置させた

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