こがねっと。Vol.24
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緊急性が高く、治療を急ぐ場合や疑う所見があれ   ❺ ば、時間を要しても検査しなければならない場合もあります。最初に診療を行う救急医が今後の治療の一翼を担っており、見落としてはいけないと思っています。例えば、敗血症で運び込まれた患者さんに意識障害があり、MRI検査を行ってみると脳梗塞を起こしていたというケースがあります。迅速さをもって判断することも大切ですが、患者さんの症状から、幅を広げて様々な可能性を考えることも必要です。救急医療は一人で完結できるものではありません。専門医をはじめ医療スタッフと連携をとりながら、患者さんのために一秒でも早く専門医の治療につなげられるよう努めています。救急医療の現場では迅速さと決断力が大切�救急医とは、様々な症状で救急搬送された患者さんに対して、適切な診断を行い、初期治療から集中治療までを行う医師のことです。脳卒中を疑う場合、上肢の麻痺、顔面下垂、言語障害といった症状が一つでもあれば、その可能性が6〜7割となります。しかし、救急で搬送される患者さんはぐったりしていて直接話を聞けず、症状がわからない場合も少なくありません。その中でも救急医は患者さんに何が起きているのか、その場での判断力が求められます。多くの脳神経疾患は診断までの迅速さが勝負になりますので、脳神経外科医の治療へとスムーズにつなげなければなりません。脳出血には血圧を下げる、くも膜下出血には刺激を与えないなど様態が急変しないようにすることを大切にしています。質の高い救急体制�プロフィール■日本救急医学会救急科専門医■日本外科学会認定医・専門医・指導医■日本消化器外科学会専門医・指導医■日本急性血液浄化学会認定指導者■日本外科感染症学会外科周術期感染管理認定医・教育医■日本腹部救急医学会評議員「正しく知る」ということ「脳神経外科治療に関するお話」3今そこにある危機�24時間断らない�Yoshitaka Uji宇治 祥隆(うじ よしたか) ■新古賀病院 救急部部長  〈救急科〉 〈消化器外科〉

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