診療技術部看護部各委員会報告業績編集後記教育講演会・研修会・研究会天神会医療研究会抄録 口腔ケアチーム(OCT)は誤嚥性肺炎予防を目的とし、「誤嚥しても肺炎にならない、きれいな唾液にする(口腔内環境の清潔維持)」をスローガンに2008年5月から口腔ケア介入基準を作成し活動を開始しました。当初は月2回の回診を行い、口腔ケアの重要性をスタッフへ伝達し意識の向上を図りました。2008年9月に院内統一の口腔ケア手順を作成し、各病棟での勉強会を行いました。2010年4月より、歯科衛生士がチームに加わり、回診を週1回行っています。2010年7月より、口腔ケアをより効率的に行うことを目的に、口腔内環境の評価法として口腔ケアスコアを導入し運用してきました。2012年4月からは、口腔ケアスコアと簡易嚥下誘発テストを指標に肺炎罹患リスクの層別化を行い、口腔ケアの回数を調整し、より効果的な誤嚥性肺炎予防に取り組んでいます。2023年度より歯科医師が常勤となったことで口腔内状況に対し早期に相談することが可能となっています。そのため今まで以上にタイムリーで質の高いケアが提供できるようになりました。 OCT構成スタッフは、医師・看護師・歯科衛生士・言語聴覚士など総勢36名です。当院に歯科が併設されて7年が経過し、歯科衛生士からの指導も受けながら情報の共有化及び歯科医師との連携を深め、口腔ケアへの意識の向上や知識・技術の統一を図り、質の高い口腔ケアに向け取り組んでいきます。 2024年度では対象患者の介入方法や回診についての統一化をはかるため口腔ケアマニュアルを作成しました。また全病棟での一貫した手技を行えるように手技マニュアルも作成し勉強会で活用しています。 口腔ケアの目的は、栄養状態の改善や慢性疾患の管理、QOLの向上と多岐にありますが、口腔ケアチームとして誤嚥性肺炎の予防を目指しています。誤嚥性肺炎の合併が最も多い脳卒中患者における過去19年間の発生率を脳卒中データベースをもとに調査しました。2010年より減少傾向にあり、2021年に11%台まで上昇していますが近年は10%以下を維持しています。 また、全科での口腔ケア介入者での新規肺炎発生率としては2022年をピークに10%以下を維持しています。しかしここ2年の推移を見ると増加傾向にあるため、スタッフの手技向上行いケアの質を高め、歯科と協力し減少できるよう努めたいと考えています。 現在は、口腔ケアチームのスタッフが中心となって、ベッドサイドにおける口腔ケアの指導に当たっています。日々の口腔ケアは病棟スタッフが実践しているため、口腔ケアに対する教育を強化するため、各病棟での勉強会を実施しています。口腔ケアの効果として、誤嚥性肺炎の予防ができ、誤嚥性肺炎の発生率減少に向けて、スタッフ一丸となって実践しています。誤嚥性肺炎の更なる減少を目指して、チーム活動のあり方を模索し、更なる発展を目指して活動を継続していきます。— 189 —脳卒中誤嚥性肺炎発症率口腔ケア介入者新規肺炎発生率新古賀病院 東ICU 上川 翼口腔ケア委員会
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