診療技術部看護部各委員会報告業績編集後記教育講演会・研修会・研究会天神会医療研究会抄録支援モードで腫瘍性と判定された病変を10個切除し、病理結果はCAD EYEの判定と全て一致した。4、GIS平均時間は通常検査205±74秒、CAD EYE使用時253±109秒であった。5、GISにおいて検査内容に違いは見られなかったが、TCSでは治療件数が増加した。【考察】検出支援モードは病変に正確に反応し早期発見に有用であったが、誤検出も多く、今後は検出感度の向上が必要だと考える。 LMPCでコンプリート症例が少なかったのは適切な部位の認識ができず、マークの付く部位にずれが生じた事が原因である。今後は検査の均一化を目指し、精度向上が求められる。 鑑別支援モードはCAD EYE と病理結果が全て一致した為、治療病変の選択に有用であり、診断精度の向上に繋げる事ができた。今後、GISにも鑑別支援モードが追加されると更にCAD EYEの有用性が高まると予測される。 GISで検査時間が延長したのは、CAD EYEを用いる事で、今までより注意深く観察するようになった為だと考えられる。 TCSにて治療件数が増加したのは普段経過観察をする小さな病変まで治療した事が原因であると考える。【結語】CAD EYEの3つの機能は病気の早期発見、診断精度の向上に有用であるが、現状では不十分な点もあり、今後更に進化する事で医師や患者の負担軽減に貢献出来ると期待している。主幹動脈閉塞を伴う脳梗塞の鑑別において最も有効な観察項目および組み合わせの検証久留米広域消防本部 大川消防署消防課 ◎古賀凌、土井清人、久留米大学医学部救急医学講座 ◎田代恵太【1.目的】主幹動脈閉塞を伴う脳梗塞の鑑別において、最も有効な観察項目および組み合わせについて検討し、適切な医療機関選定に役立てることを目的とする。【2.対象と方法】大川署救急隊(令和5年4月~令和6年1月)と浮羽署救急隊(令和2年1月~令和5年3月)が脳卒中を疑い搬送した223症例のうち、主幹動脈閉塞29症例をA群、主幹動脈閉塞以外の194症例(脳梗塞以外を含む)をB群に分け、(1)最も有効な観察項目について、比較・分析を行った。 また、全223症例から総務省消防庁の通知で示された搬送指標である2項目・3項目の陽性所見がある症例を抽出し、ここで抽出した59症例のうち、主幹動脈閉塞12症例をA’群、主幹動脈閉塞以外の47症例をB’群に分け、(2)最も有効な観察項目の組み合わせについて、比較・分析を行った。 なお、統計学処理にはフィッシャーの直接確率を用い、p値<0.05を有意差有りとした。【3.結果】(1)について、失語以外の5項目について有意差を認め、さらに5項目の中でも上肢麻痺の主幹動脈閉塞症例に占める割合が75.9%と最も高かった。(p=0.00716)(2)について、顔面麻痺および上肢麻痺の2項目陽性の場合に有意差を認めた。(p=0.01846)【4.考察】脳卒中を疑う患者で上肢麻痺の陽性を観察した場合、主幹動脈閉塞の可能性が高いと考えられる。また、上肢麻痺に顔面麻痺を加えた2項目の陽性を観察した場合は、主幹動脈閉塞を伴う脳梗塞である可能性がより高いと判断し、機械的血栓回収療法が可能な医療機関を選定するべきであると考える。患者経験価値(PX)から考える予防医療~PX結果を踏まえた質改善活動~まどかファミリークリニック ◎黒木史仁、加藤光樹【背景】近年、患者中心の観点から患者経験価値(Patient Experience: PX)が注目されている。PXは医療サービス全体を通じた患者の経験を評価する指標1)で、患者が健康増進や予防医療に取り組むこととの強い関連が報告されている2)。「疾患として診断される前の段階で健康を維持し、必要以上の医療介入を避ける」という未病3)への対応を検討するため、PXの測定を通じてプライマリ・ケアを提供する当院の機能について、現状の評価と改善を検討することとした。【方法】20歳以上の外来患者に対して、近接性、継続性、協調性、包括性、地域志向性から構成されたPX評価ツールJPCAT(Japanese version of Primary Care Assessment Tool)による質問紙調査を実施した。ただし、新患や特殊な状況の患者は除外した。【結果】72名から結果を得た。協調性以外の項目は全国平均を上回っていた。結果の詳細は別紙で報告する。【考察】継続性指標が高い結果は、患者が医療者に自身をよく理解してもらえていると感じていることと関連しており、当院が重視している患者を全人的に理解してケアを提供する実践が実を結んでいると考えられた。主に専門医療への紹介を評価する協調性指標が低かったことは、患者が専門医受診を好み、それが可能である地域であることが影響していると考えられた。必要なときに支援が得られる包括性指標は、認知症、虐待、アドバンス・ケア・プランニングの相談ができるかなどが含まれるが、こうした相談が可能であることがあまり知られていないようだった。これは「かかりつけでは何でも相談してよい」ということ— 228 —
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