社会医療法人天神会 2024年度 年報
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診療技術部看護部各委員会報告業績編集後記教育講演会・研修会・研究会天神会医療研究会抄録1)Goncalves-BradleyDC,ClemsonLM,et 【倫理的配慮】今回の研究のみに使用プライバシー保護を厳守する。【事例紹介】患者H氏 年齢76歳 女性【治療経過】X年9月呼吸状態悪化にて緊急入院し、肺炎によるうっ血性心不全と診断された。入院後、呼吸器療法や抗菌薬投与し改善がみられた。入院時より本人へ飲水量などの指導し、家族も現状について理解され、受け入れも良好であった。自宅退院に向けての心臓リハビリテーションを実施し、退院時に本人へパンフレットを用いて指導を行った。また、毎週開催されている心リハカンファレンスで、病棟だけでなく外来看護師も含めた多職種で情報共有を行い、継続的な療養指導に繋げた。退院時に再度病棟で注意事項を確認し、指導した内容等をカルテ記載と外来に申送りすることで受診時の指導介入がスムーズに行える様にした。外来では、指導内容を再度確認し、心不全セルフケア行動尺度(21Ver)で評価した。「パンフレットを持っておきたい」と希望され、家族のサポート体制も出来ていた。【考察】Danielaらは「入院後早期から退院調整および退院支援は、心不全患者の退院後早期の再入院の回避に効果的である」1)と述べている。今までは入院中の指導が中心となっていたが、退院後外来スタッフが関わることにより、患者の継続的指導や看護を行うことで、症状の悪化が無く在宅で生活を行うことが出来ている。入院期間の短縮に伴い、療養指導の定着まで時間を要するため、外来での継続看護は重要な役割を果たしていると考える。【終わりに】入院時から患者背景を理解した上で、継続的な療養指導介入が必要である。今回の事例を通して療養指導を継続的に行う事で、再入院予防に繋がると感じた。今後、指導スタッフの育成と病棟・外来の連携を強化し継続看護に広げたい。また、今回のように成功事例もあれば、意識付けは出来てもコンプライアンスが不良で、維持継続の出来ない症例もある。個別性を意識した、行動変容にも繋がる療養指導が必須であると考える。再入院予防に向けた療養指導を継続し、住み慣れた地域で生活をし続ける一助になるように取り組んで行きたい。【引用文献】al.Discharge planning from hospital.CochraneDatabase SystRev2016:CD000313.PMID:26816297【参考文献】日本循環器学会:心不全療養指導士認定試験ガイドブック改定、第2版、P19、株式会社南江堂、2022年編集筒井裕之、眞茅みゆき:実践心不全療養指導、P79、株式会社メジカルビュー社、2023年日本循環器学会他:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン、2021改訂版、2022年予防医療における多職種連携医療体制の構築と安全・安心の確保新古賀病院 本4階病棟 ◎外田友佳乃、早田奈穂、大石奈々子、梶原美沙緒【背景】はじめにテーマである予防医療とは、患者の視点に立った、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制の構築1)と山田氏は述べている。今回COVID-19感染後四肢の循環障害を発症した患者に対し早期に高気圧酸素療法を開始し治療効果を得ることが出来た。またこの症例を通し安全・安心のできる質の高い医療を受けられる体制を整えることの重要性を実感することが出来たためここに報告する。【目的】創部の治癒、早期の社会復帰【結果】早期の治療開始に伴い効果を得られ、社会復帰に向け安全・安心のできる医療体制を整えることができた。【考察】今回、COVID-19感染後四肢の循環障害を発症した患者に対し、当院で2024年6月より導入した高気圧酸素療法を早期に開始することができ、医師をはじめ臨床工学技士、フットケア担当看護師・理学療法士とともに多職種での介入を行ったことで患者へ安心・安全な医療を提供できる体制を整えることができた。このことは、当院における充実した医療体制があったからこそではないかと考える。 成人期にあった患者は、日常生活に戻れるのかという絶望や不安、ADLの制限に対する苦痛が強くなっており、表情で増強しているのが伺えていた。介入当初は、明らかな改善が得られておらず、その状況下では精神的な援助はとても難しく、言葉を選択しながらコミュニケーションを図っていた。日に日に、目にみえて四肢の循環障害の改善を認め、足趾の感覚が戻ると患者本人も笑顔が見られるようになり初めて鼓舞することができた。また、リハビリの介入のもと除圧サンダルを履き歩行ができる姿がみられるようになった際は、一緒に喜びを共有することできた。生活背景から多職種でも情報共有を行いサポートし信頼構築に努めたことで社会復帰に対する不安軽減を図ることができたのではないかと考える。2)看護師は患者の身近なところで日々関わり、身体的・精神的・社会的側面から患者を包括的に捉え意思やニーズを把握していることから多職種連携のなかで患者・家族の意思に沿った在宅生活継続への支援ができる。と述べている【結語】今回、COVID-19感染後の四肢の循環障害に対し早期に高気圧酸素療法を行ったことで症状の進行を抑え治療— 230 —

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