ご挨拶新古賀クリニック診療科新古賀病院診療科古賀病院21診療科新古賀リハビリテーション病院みらいみらい介護医療院矢取事業部辺春診療所教育研修部野伏間事業部<診療体制> 2023年度に引き続き、常勤医師1名で可能な範囲の診療内容とさせていただいております。外来のみ、複数の非常勤医師に応援いただいています。<入院診療> 主として内視鏡下鼻副鼻腔手術を行っています。鼻茸、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、副鼻腔真菌症、症例は限られますが鼻副鼻腔良性腫瘍などの疾患が対象です。手術枠は週1日(月曜日に2枠)で、昨年同様です。おかげさまで数ヶ月先まで御予約をいただいておりますが、手術待ちが長くなり大変心苦しく思っております。 当科での入院期間は、3~4日間としています。以前は1週間ほどの入院としていた施設が多かったと思いますが、社会情勢、国の方針、DPCなどの要因にて少しずつ短くなる傾向があり、日帰りで行う施設もちらほら出てきています。自分自身がもし患者として鼻の手術を受けるとしたら、事情が許せば短期間でも入院したいなと思いますので当科では3~4日間に設定しています。今後、医療情勢や患者様の御希望その他の変化により、変更していくかもしれません。鼻以外の手術につきましては、助手確保がしづらいこと、手術枠が鼻手術のみで数ヶ月先まで埋まっていること、緊急呼出しに対応しづらいこと、などから現時点では対応できておりません。また、急性喉頭蓋炎や扁桃手術など、気道狭窄や出血・急変リスクの高い症例につきましても、診療体制に鑑みて安全を担保できないため対応しておりません。<外来診療>[鼻副鼻腔疾患] 常勤医師は鼻副鼻腔疾患、特に嗅覚障害、アレルギー疾患(アレルギー性鼻炎、好酸球性鼻副鼻腔炎)、手術(鼻副鼻腔内視鏡手術/ESS)を専門としております。昨年度に引き続き、鼻副鼻腔内視鏡手術(ESS)を中心に、主に良性の鼻副鼻腔疾患を診療して参りました。当院は、基準嗅力検査(T&Tオルファクトメータ)と静脈性嗅覚検査、鼻腔通気度検査、音響鼻腔計測検査といった鼻科系検査をすべて院内で施行でき、CTやMRIもあり、鼻関連の設備が大変充実しています注1)。 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(主として既存治療で効果不十分な好酸球性鼻副鼻腔炎が対象になります)に対しては、手術や薬物療法だけでなく、生物学的製剤による治療も行っています。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対して使用可能な生物学的製剤は、2020年以降、デュピルマブ(商品名:デュピクセント)のみでしたが、2024年8月よりメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が使用可能となり、選択肢が増えました。今後もあらたな生物学的製剤の適応追加が見込まれています。鼻副鼻腔炎は下気道との関連が深い疾患ですが、当院では呼吸器内科の先生方との連携がとりやすく、ありがたい限りです。これまでの経験と、アレルギー専門医としての知識、施設規模を生かし、鼻副鼻腔良性疾患の診断・保存的治療から手術まで総合的な診療を行えることが強みです。 おかげさまで嗅覚障害の患者様を御紹介いただくことも増えました。2022年までの基準嗅力検査件数は年間30件ほどでしたが、2023年度は61件、2024年度は102件と急増しました。嗅覚障害は、残念ながら治癒しない方もおられますが、鼻副鼻腔炎など可逆的な原因を治療し、嗅覚のメカニズムについて御説明し、嗅覚トレーニング(嗅覚刺激療法)や日常生活の指導を行っていくことで、改善できる部分は改善でき、そうではない場合も、病状を理解し、生活の質を改善させることも可能です。なお私がガイドライン作成医員として執筆を一部担当しました嗅覚障害診療ガイドラインが2025年1月に上梓されました。Web上で無料で閲覧・ダウンロードできますので、御興味のある方は御覧いただければ幸いです。https://doi.org/10.7248/jjrhi.64.1[補聴器外来・聴覚系] 2023年度に引き続き、月2回・3ヵ月間のプログラムを組んで補聴器装用訓練を行っています(成人のみ)。補聴器適合判定医(鈴木)、言語聴覚士、認定補聴器技能者が外来を担当します。3ヵ月間のプログラムが終了し、補聴器の使用感に十分納得してから補聴器を購入いただけます(プログラム中に補聴器購入を希望される方も多いです)。補聴器外来は火曜日午後に開設していますが、補聴器外来御希望の方には、まず通常の耳鼻咽喉科外来枠を受診していただき、適応があれば補聴器外来・訓練へつなげていくようにしています。 聴覚系検査では、標準純音聴力検査・インピーダンスオージオメトリのほか、DPOAEや、従来どおりASSR(聴性定常反応検査)も行っています。睡眠剤が必要な幼児・小児の場合は、非常勤小児科医師と連携して検査を行っています。ASSRは予約制です。まず通常の耳鼻咽喉科外来枠を受診していただくか、事前に御相談ください。 突発性難聴へは、放射線治療部と連携し、外来で高気圧酸素療法を行うことができます。御希望と適応によりますが、並行してステロイド鼓室内投与療法を行うことも可能です。高気圧酸素療法が終了すれば、かかりつけ医の先生へフォローをお願いしています。[外来体制] 常勤1名および、複数の非常勤医師で診療しています。手術日や常勤医不在日も含め、平日は基本的に毎日外来診療を行うことができています。非常勤医師を派遣くださっている、久留米大学および佐賀大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の先生方には感謝に耐えません。時間帯によっては2名体制で外来を行っていますが、全般的に診察待ち時間が相当長くなっています。検査や結果説明日が後日となってしまうケースもあり、できるだけ予約を取っていた— 65 —耳鼻咽喉科 部長 鈴木 久美子耳 鼻 咽 喉 科
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