透析だより
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古賀病院21腎臓センター長新古賀クリニック院長奥田 誠也中尾 佳史 先日、古賀理事長から透析センターに「透析をやめた日」という本を数冊いただきました。作者は堀川恵子というノンフィクション作家で城山三郎賞、大矢壮一ノンフィクション賞、司馬遼太郎賞、大仏次郎賞など多くの傑作を書かれた人です。その人が透析に関する本を書かれてテレビ放送でも報道されました。 夫がNHKの有能な放送プロデューサーで血液透析をしている人でした。原疾患は多発性嚢胞腎で透析をしながら激しい業務についているプロデューサーでしたが、仕事ぶりにひかれて結ばれています。透析歴は10年で腎移植に気持ちが傾きますが、堀川さんを腎提供者としての生体腎移植を拒否し、80歳の義母の腎臓を移植しました。義母は90歳まで長生きしたそうです。しかし9年後に移植腎の機能も落ち血液透析に頼らなければならなくなりました。 おまけに肝嚢胞の増大と感染で状態は悪化し、腹痛に苦しむことになります。次第に衰え激しい痛みで弱っていきました。状態が悪化し緩和ケアでの療養を希望するも、緩和ケア病棟にいることができるのはがんの患者だけと断れました。状態はさらに悪化しプロデューサーは透析の中止を訴えられました。 腹部の痛みに加えて足の痛みも加わり、透析をやめることを二人で決心中止し、7日後に亡くなられました。 堀川さんは腎不全患者には、十分な緩和ケアの体制がとられないのか。なぜ患者は、塗炭の苦しみの中で死んでいかねばならないと不満を感じられていますが、診療報酬の壁があります。緩和ケアの保険適用の対象が、がん患者と重度の心不全に限定されているからだと述べておられます。 古賀病院21でも2年前に透析以外に疾患はないにもかかわらず、透析中止を希望された例もあります。60歳代の弁護士でパートナーもおられましたが、透析開始時から70歳で透析離脱の意思を示され、院内で倫理委員会を行い、本人の意向が最優先され、透析を中止した2週間後になくなられました。本人やパートナーは納得され、穏やかな終末期を過ごされました。がん医療で培ってきた緩和ケアの人材やノウハウを、他の疾患へと展開していく時期がきているのかもしれません。 新年あけましておめでとうございます。そして、はじめましての方も多いかと思います。私は、昨年2025年4月に院長に就任いたしました。なお、前任の宮本祐一名誉院長は、現在も健康センター長として引き続き新古賀クリニックで活躍されています。 私は婦人科を専門としており、透析医療についてはまだ勉強中の部分もありますが、頼もしい透析センタースタッフと力を合わせて、安心・安全な医療を守っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、現在新古賀クリニックは建て替え工事の真っ最中です。当院にて透析を受けておられる皆さまには、以前より少し手狭な環境でご不便をおかけしていますが、いつもご協力くださり本当にありがとうございます。 「新しい」新古賀クリニックは、2027年2月の開院を目指して工事が順調に進んでいます。完成後は、透析室もゆったりとした空間となり、これまでより快適に治療を受けていただけるようになります。クリニック内の人間ドックや外来診療施設部分も、より明るく気持ちのよい環境に生まれ変わる予定です。 また、新クリニックの1階にはカフェがオープンする予定です。患者さんやご家族の方が待ち時間にほっとひと息つける場所として、そして地域の皆さんにも気軽に立ち寄っていただけるスペースになると思います。 今回の建て替えは、老朽化した施設の更新だけでなく、久留米市との官民連携による「まちなかウオーカブル拠点形成」プロジェクトの一環です。まず、旧天神町公園の土地を活用し、「新しい」新古賀クリニックがその跡地に建設されます。そして、新クリニックが完成したら、今度は現在のクリニック仮施設を取り壊し、そこに「新しい」天神町公園が誕生します。新天神町公園はカフェの前に広がる緑地として整備され、久留米駅東口側の新しい顔として、地域ににぎわいと温かさをもたらすことが期待されています。また、災害時には、新古賀クリニックと公園が一体となって地域の防災拠点としても機能する予定です。 これから少しずつ姿を現していく「新しい」新古賀クリニックが、皆さまにとって「通いやすく」「安心できる」場所になるよう、職員一同しっかりと準備を進めてまいります。どうか温かく見守っていただければうれしいです。 本年も、皆さまにとって穏やかで健やかな一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。3医師  新年のごあいさつ

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