もやもや病用語集

あ行

アスピリン(抗血小板剤)

血小板の作用を押さえて血栓が固まりやすくなるのを防ぐ薬。

意識障害

自己を正しく認識できず、周囲に適切に反応できない状態。例えば、もうろう状態、失神などで、ひどくなると目もあけられず反応もしない昏睡状態。

EDAS (Encephalo-duro-arterio synangiosis)

間接的血管吻合術の一つで、頭蓋骨をはずし頭皮の動脈を脳表の動脈へ近接させ、頭皮の血管から脳の血管へバイパスを作る方法。

遺伝

個体レベルで親の形質が子孫に現れる現象及び細胞レベルで細胞の形質が娘細胞や子孫の細胞に現れる現象。

遺伝子治療

組み換えDNA実験によって得られた遺伝子クローンを患者の体細胞に移入して、移入された遺伝子の機能によって治療する方法。

EMS ( Encephalo-myo synangiosis)(側頭筋付着術)

側頭筋を開頭部の脳表にかぶせ、頭皮の血管から脳の血管へ流れを作る間接バイパス手術の一種。

WAIS & WISC

知能検査の詳しく行うもの。言語性知能指数と動作性知能指数に分かれ、成人用と小児用。

ウイリス動脈輪

内頸動脈と椎骨動脈との枝が大脳に分布する前に、脳底で吻合しあって形成する動脈の輪(前交通動脈、前大脳動脈、内頚動脈、後交通動脈、後大脳動脈からなる。)

運動野

前頭葉の後部に位置し、自分の意志で体を動かす随意運動の指令信号を体の各部分に送り出しているところ。

疫学

人間集団を対象として人間の健康及びその異常の原因を宿主、病因、環境の各面から包括的に考究し、健康増進と疾病予防をはかる学問。

X線CT

人体の横断面を輪切りにするようにX線をあてて得た情報をコンピュータで解析し、断層画像を合成して体内の様子をみられるようにしたもの。

STA-MCA吻合術(浅側頭動脈−中大脳動脈血管吻合術)

直接バイパス術の代表。頭皮の浅側頭動脈を剥離し、脳の中大脳動脈に吻合する。

MRI(磁気共鳴映像法)

静磁場と変動磁場を用いて生体の任意の方向の断層像を得ることのできる画像診断法。

MRA(磁気共鳴血管造影法)

MRIで、特に血管だけを取り出し鮮明に画像化する検査法。

か行

外頚動脈

内臓の一部と頭の脳硬膜及びそれより外(頭の皮膚や筋肉)に枝を送っている動脈。バイパス手術に使用される浅側頭動脈もこの外頚動脈の分枝。

拡散強調像 (Diffusion imaging)

MRIの特殊撮影。特に急性期脳梗塞をみつけるのに用いる。拡散とは、分子拡散のこと。

過呼吸

一回の吸気量に対して呼気量が多い呼吸パターン。泣く、熱い食べ物をフーフーしながら食べる、ハーモニカ・ピアニカ・笛をふく、風船を膨らます等をした際になる。過呼吸により、動脈血中の炭酸ガスが少なくなると、脳血管が収縮し脳血流が低下する。

片麻痺

同側の手・足が運動麻痺を起こした状態。右脳が障害を受けた場合は左側に、左脳が障害を受けた場合は右側に運動麻痺が現れる。

川崎病

原因不明で、4歳以下の男子に多い。主要症状としては、5日以上続く発熱、手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑、指先からの膜様落屑、不定形発疹、両側眼球結膜の充血、口唇の紅潮、イチゴ舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤、急性期における非化膿性頚部リンパ節の腫脹がある。

間接吻合術

血流の豊富な臓器(動脈を含む帽状腱膜や筋肉)を脳の表面に置く手術で、筋肉をかぶせるEMS、動脈を脳表にのせるEDAS、大網をかぶせる大網移植、浅側頭等がある。これらを複数行ったり、直接法と併用することも多い。

眼動脈

内頚動脈の枝で、視神経近くで分枝し、視神経を栄養している。

狭窄

内腔が狭まっているために血液の通りが悪くなった状態をいい、50%以上の狭窄で神経症状が出現するといわれている。

くも膜下出血

頭蓋骨内、脳表の、くも膜と軟膜の間で起こった出血。

痙攣発作

全身または体の一部の筋群の不随意かつ発作性の収縮。

ケタス

(脳血管拡張薬、脳循環代謝改善薬)脳の血液の流れを良くする薬。

血管炎

大動脈やその主要分枝動脈などにみられる非特異性の炎症性変化。

血管増生因子

血管を作ったり血管を増やしたりするのを促進させる物質。

血行再建術(バイパス術)

脳血流が低下している部分の改善を図るために行う手術(直接吻合術と間接吻合術)。

血漿

血液から有形成分(赤血球、白血球、血小板)を除いた液体成分。

血栓

血管内で、血小板の粘着、凝集、血液の凝固を生じた際の凝固塊。

血栓性素因

血管内で血栓ができるのは凝固・線溶系と関係している。抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体など)など血栓ができやすい状態を引き起こすもの。

血腫

出血が起こり、一箇所に相当量の血液がたまっているもので、通常、血液は凝固しており腫瘤状となっている。

言語障害

読字の障害、書字の障害、発語の障害、聴覚失認。

言語中枢

大脳皮質で言語機能を司っている部位。この場所の限局した損傷によって失語症を呈する。左側下前頭回の弁蓋部と三角部(ブローカ運動性言語中枢)、左側上側頭回後部(ウェルニッケ感覚性言語中枢)、左側頭頂葉角回(視覚性言語中枢)、左側中前頭回後部(書字中枢)などがある。

言語療法

言語の要素である、聴く、話す、読む、書くの回復、改善を図るリハビリ治療法。

原発性肺高血圧症

原因不明で、肺動脈圧が上昇し、右室肥大、右室不全を生ずる疾患。病理学的には、肺動脈の血管中膜筋層の肥厚と血栓形成、動脈炎、血管壊死像がみられる。交感神経脊髄のうち胸髄と腰髄から出て脊髄の両側にある交感神経節に入る。働きとしては、心臓に対しては心拍数増加、拍出量増加など心臓の機能を促進し、血管に対しては収縮を促して血圧を高める。冠状血管においては反対に拡張して心臓を養う血液量を増加させる。気管、消化器の筋肉を弛緩させ、消化液の分泌を抑制する。また、瞳孔を散大させ、汗腺の分泌を促し、立毛筋の収縮をおこさせる。

坑凝固薬(抗凝血薬)

血液が凝固するのに必要な時間を遅らせる作用を持つ薬剤で、血栓症を予防する目的で用いられる。へパリンと経口抗凝血薬(ワルファリンカリウム)がある。

坑血小板薬

血小板の血管障害部位への粘着、凝集を抑制し、血栓症を予防する薬。アスピリン、小児用バファリン、バファリン、パナルジン、チクロピジン、チクロピンなどがある。

高次脳機能障害

言語機能や認識・行動の統合機能などの非常に高度な人特有の能力の障害。

後大脳動脈(PCA)

椎骨脳底動脈の最終枝。側頭葉内面及び後頭葉を栄養潅流し、これが閉塞すると意識障害、同名半盲(両眼の固視点を境にして右側あるいは左側半分の視野欠損をきたすもの)を呈する。

後頭動脈

外頚動脈から後頭の方に分岐した動脈。

後頭葉

視覚中枢の座で、この部分が障害されると同名半盲(視野欠損)や視覚失認(物体が見えるだけで何であるかを認めることができない)、視覚性失読、バリント症候群(自発的に注視できない)、視覚性てんかん (星やボールなどの形をしたもの、光や色の鮮光を見る)等がみられる。

後天的(素因)

疾病に対する抵抗力が減退している状態のうちで、生後に獲得した因子をいい、全身的な因子としては居住環境の変化、食生活の変化、免疫の獲得状態、職業などがある。

さ行

再生医療

再生に関与する幹細胞や細胞増殖(分化)因子、さらには再生機序を研究し、その成果で組織や器官の大きな欠損を再生し機能を回復させる医療。

作業療法

特定の作業(木工、裁縫、料理、農作業、園芸、動物飼育、陶芸、印刷織物、手芸など)を介して疾患で生じた麻痺などの回復に役立てようとする治療法。

篩骨

鼻腔の外側壁の上鼻甲介、中鼻甲介、鈎状突起の部分。

失行

麻痺、失調、不随意運動などの運動障害がなく、意識混濁や知能障害の関与もなく、行うべき行為や動作を十分知っているにもかかわらず、その行為を遂行できない状態(着衣失行、図形描写や積木の構築などの操作が障害される構成失行、観念運動失行、運動失行がある)。

失語

言語機能が選択的に失われた状態(聴覚や構音(発声)機能は保たれており、また意識障害や重症痴呆などの脳機能の全体障害が無いにもかかわらず、言語の理解や表出のみが障害された状態)。

失認

視覚、聴覚、触覚など一定の感覚路を通しての、よく知っているはずの対象の認知が障害されることで、対象が占める空間の認知障害、自分自身の身体についての認知障害も含まれる。

斜視

両眼の視線が正しく目標に向かない状態で、眼位の異常があり、これに両眼視の異常や視力の異常を伴う症候群。

循環血漿量

体全体の血管内に存在する血漿の量。

神経内科

脳神経の疾患を内科的に治療する科。

侵襲

手術や検査などを受けることによって、体へ与えられるダメージ。

髄膜炎

脳や脊髄を覆っている脳脊髄膜(軟膜、クモ膜、硬膜)の炎症で、発熱、頭痛、嘔気、嘔吐、時に痙攣、意識障害、精神症状などが出現する。

スクリーニング検査

多数の標本によりなる対象集団について、病的であるのか健常であるのかの選別、また病人についてはどのような一般全身状態にあるか等"を知る目的で行う検査のこと。

鈴木の6期相分類

東北大学の鈴木二郎氏による(特に小児例における)病気の進行過程を脳血管撮影所見によって6期に分類したもの。第1期(狭小期)、第2期(初発期)、第3期(増勢期)、第4期(細微期)第5期(縮小期)、第6期(消失期)の6期。

スチール(盗血)現象

脳虚血部位では、脳血管の拡張が生じ、血管運動麻痺の状態にあるため、血管拡張作用のある薬剤に反応しない。一方、周囲の正常組織では脳血管は血管拡張剤に反応し拡張するため、脳血流は増加し、病巣部への灌流圧は低下し、病巣部の血流はかえって減少する現象。

SPECT

脳の組織の状態を、主にその代謝状況から測定しようとする装置で、体内に分布するRIの放出する放射線をある断面ごとに測定する(ガンマ線を用いている)装置。

3D−TOF(Three-dimentional time-of-flight法の略)

MRAの特殊撮影法。太い血管の狭窄状態を見るのに適している。

生活習慣病

病原体や有害物質などの外部環境因子や生まれつきの遺伝的な要素は、疾病の発症や進行に影響するが、糖尿病、高血圧、高脂血症、肝機能障害、肥満、骨粗しょう症、虫歯、癌、脳卒中、心臓病などの、食習慣、運動習慣、休養のとりかた、嗜好などの生活習慣が深く関わっている疾病。

セカンドオピニオン

主治医以外の見解を求めるために別の医師にかかること。

浅側頭動脈(STA)

外頚動脈からの分枝で、耳の上に触れることのできる動脈。前枝と後枝に分かれ、これらをバイパス術に用いる。

前大脳動脈(ACA)

頭蓋底部で内頚動脈から分枝し視神経交叉の直上に至っており、終末部は後大脳動脈の枝である後脳梁動脈と吻合し、大脳半球内側面を潅流する。閉塞症状としては下肢に強い片麻痺、精神症状、尿失禁等。

先天性(素因)

病気に対する抵抗力が減退している内在的状態のうち出生前にすでに獲得しているもので、血友病や色盲のような遺伝性疾患や、アレルギー体質のような病的体質がある。生理的なものには、種族、性、臓器素因や一般的体質が含まれる。

前頭葉

思考、判断、学習、推論、注意、意欲、情操、計算等の機能があり、口や舌や手足を動かすための指令を出す運動中枢や言葉を話すための機能を調節する運動性言語中枢もある。

側頭葉

聴覚、嗅覚、味覚の中枢、情緒や感情の中枢、言葉を聞いて理解する感覚性言語中枢があり、視覚情報から得た形や顔、図形等を認知する。

側副血行路

血管の一部に強度の狭窄または閉塞が起こり、ある場所の血流が妨げられると、この部分の前後を連絡している吻合枝を通って血液が流れ、循環の回復がなされる。このバイパスのことをいう。

た行

ダイアモックス

SPECT検査の際に用いる薬剤。これで負荷することで過呼吸状態と同じ脳血管を拡張させた状態を作り出し、脳循環の予備能力をみる。

大脳基底核

大脳半球白質にある終脳由来の神経核で、骨格筋の運動及び緊張を無意識に支配する。

大脳半球(終脳)

高次神経活動の座であり、左右相称で、溝・回に富んだ灰白質(大脳皮質)に表面を覆われている。その深部には白質(大脳髄質)と大脳基底核がある。左右大脳半球は正中裂で分かたれるが、中心部では脳梁が両半球を結んでいる。各半球は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、島の5部に分かたれている。

脱力発作

急激に生じる全身性あるいは局所性の筋緊張消失発作(突然、床にくずれ倒れ、あるいは手に持っている物を取り落としたりする)。

チクロピジン(抗血小板剤)

血小板の作用を押さえて、血栓が固まりやすくなるのを防ぐ薬。

知的(能)障害

精神遅滞(先天性または出生後の早い時期に何らかの原因で知的発達が障害され、知能が低い状態に止まっているもの)と痴呆(いったん正常に発達した知能が、後天的な脳の器質障害のために持続的に低下した状態)の2つのタイプがある。

中大脳動脈(MCA)

内頚動脈の延長で、島の表面を走行した後脳表に至り、大脳半球の大部分を潅流する。この動脈の閉塞では、運動・知覚麻痺、同名半盲、優位半球では失語症、ゲルストマン症候群(手指失認、左右障害、失算、失書)などの症状をきたす。

直接吻合術

脳の血管と頭蓋外(頭皮や頚部)の血管とを吻合する手術で、浅側頭動脈—中大脳動脈吻合術、後頭動脈—後下小脳動脈吻合術等がある。

椎骨動脈(VA)

鎖骨下動脈より左右対に分岐し小脳、脳幹部を主に栄養潅流しているが、その後左右の椎骨動脈が合流し1本の脳底動脈となり、後大脳動脈に分枝している。

2D−TOF(Two-dimentional time-of-flight法の略)

MRAの特殊撮影法。もやもや血管など細い血管を見るのに適している。

低緊張

筋緊張が低下した状態で、何となく力が抜けていて、日常生活に不都合を与えるほどの麻痺はないが、よく転んだり、落ち着きがなかったりする。姿勢筋緊張の低下が進行するにつれて流涎や歩行障害に発展する場合もある。

低体温療法

人工的に動物の冬眠に類似した状態を作り出し(冷気や冷水などによって体温を低下させていく)疾患や障害の治療に応用する方法。脳血流が不足している時、脳梗塞防止目的に行うこともある。

T2強調像

MRIの撮影法の一つ。T2値を強調しての撮影法。この撮像法で白く映るものは、髄液や脳実質に生じた浮腫。

T1強調像

MRIの撮影法の一つ。T1値を強調しての撮影法。この撮像法で白く映るものは、脂肪・一部の血腫。

テグレトール(抗痙攣剤)

脳細胞の興奮をしずめ、刺激が伝わりにくくすることで痙攣発作を押さえる薬。

テスラ

磁場の強度の単位で、1テスラは10,000ガウス。もやもや病を確実に診断するには、1.5テスラ以上のMRIの機械が望ましい。

デパケン(抗痙攣剤)

脳細胞の興奮をしずめ、刺激が伝わりにくくすることで発作を押さえる薬。

てんかん

大脳の神経細胞の過剰な同期的反射活動が起こることで、全身硬直−間代発作、失神発作、幻聴発作、四肢の一部の硬直発作などが繰り返す病態。

頭頂葉

体の立体感覚を調節している部分で、触覚や痛覚など皮膚で受ける感覚の中枢があり、見たものの空間的位置関係や向きなどを識別する機能もある。

動脈硬化

動脈壁が肥厚し、弾性を失った状態で、大動脈瘤や解離性大動脈瘤を形成したり、虚血性心疾患を発症したり、脳梗塞を発生したりする。

特定疾患(難病)

原因不明、治療法未確立であり、かつ後遺症を残す恐れが少なくない疾患。経過が慢性にわたり単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を用するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾患。

頓服

解熱剤などの何回かに分けて飲むのではなく、その時だけ服用する薬。

な行

内頚動脈(IC)

総頚動脈から分岐し、脳の前・中部と眼窩に枝(前大脳動脈・中大脳動脈など)を送っている動脈。

熱性痙攣

熱の上昇に伴って、全身性の強直性(骨格筋が突っ張るように激しく痙攣し、比較的長時間にわたって持続する)、間代性(収縮と弛緩が素早く交代を繰り返す)の左右対称性の痙攣発作を生じるもの。

脳機能(脳活動)

記憶、言語、認識などの機能。PETや脳磁図(脳の神経活動に伴って頭の表面に形成される微弱な磁場の強度の時間的変化や空間的パターンとして表したもの)や機能的MRI(様々な脳機能の責任領域を画像化するもの)を使って測定研究されている。

脳虚血発作(TIA)

原因に関係なく、脳局所の脳血流低下により突然、片麻痺、失語症等の脳局所症状が出現し24時間以内(通常10〜20分以内)に回復する病態。

脳血管撮影(造影)

頚動脈、椎骨動脈の主幹部に造影剤を注入し頭蓋内外の血管を造影する動脈造影法と内頚静脈、前頭静脈に造影剤を注入する静脈造影法がある。造影剤を注入する方法としては、大腿動脈経由のカテーテル法が最も一般的。脳血管障害、脳動脈瘤などの診断に重要な検査。

脳梗塞

脳血管の血流障害により、脳組織が壊死を起こすことで、原因としては脳血栓、脳塞栓、クモ膜下出血に伴う血管攣縮、低血圧、低酸素血症などがある。

脳出血(高血圧性脳内出血)

普通は、高血圧性脳出血といわれるもので、もともと高血圧のあった人で、脳の中の血管が破れて脳の組織の中に出血を起こした状態をいう。症状としては、突然発作性に始まり、意識の障害と手足の運動機能の障害を起こし、後に永続的な半身の麻痺を残すことが多い。

脳循環代謝

脳は、血液によって運ばれる酸素やエネルギーを使って活動をしているので、脳の血液循環や代謝を調べることにより病気の現在の状態を把握でき、病態に応じた有効な治療を選択できたりする。

脳卒中(脳血管障害)

脳の血液循環(血液の流れ)の障害によって急激に意識障害、神経症が出現する病態で、脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作、クモ膜下出血などがある。

脳底動脈(BA)

左右の椎骨動脈が、橋と延髄との境界付近の前面で合一したところから、橋の上縁で左右の後大脳動脈に分枝するまでの1本の動脈をいい、前下小脳動脈(小脳の前下部)、迷路動脈(内耳)、橋動脈(橋とその隣接域)、上小脳動脈(小脳上部)を分枝した後、後大脳動脈となる。

脳動脈瘤

脳の動脈壁が瘤状に膨れたもので、これが破裂すれば、多くはクモ膜下出血、時に脳内出血を引き起こす。

脳波

頭皮上から記録される脳神経細胞の電気的活動の変動のこと。もやもや病の場合は、過呼吸中にゆっくりとした大きな波が出現し(ビルドアップ)、過呼吸を止めて1分程度経過すると、再び脳波のペンが振り切れる程の大きな波が出現する(リ・ビルドアップ現象)。

脳ヘルニア

頭蓋内圧が異常に亢進した場合、脳組織が一定境界を越えて、隣接腔へ進入した状態。この状態になると昏睡、呼吸困難など重篤な状態に陥る。

は行

バッファリン(抗血小板剤)

血小板の作用を押さえて血栓が固まりやすくなるのを防ぐ薬。

パナルジン(抗血小板剤)

血小板の作用を押さえて血栓が固まりやすくなるのを防ぐ薬 。

貧困灌流症候群 (Misery perfusion)

局所脳血流が減少しているのに局所脳酸素摂取率が亢進している状態で、血流量が不十分な状態で代謝を保つため血液中の酸素が通常よりも多く取り出され利用されている状態。

フェノバール(抗痙攣剤)

脳細胞の興奮をしずめ、刺激が伝わりにくくすることで痙攣発作を押さえる薬。

副交感神経

中脳から出る動眼神経や延髄から出る顔面神経、舌咽神経、及び迷走神経の中に混じって出ているほか仙髄から骨盤内臓神経として出ている。働きとしては、瞳孔を縮小させ、毛様体筋を収縮させて遠近調節をしている。唾液の分泌を促したり、下行結腸、直腸、膀胱筋の収縮を促す。心臓の抑制、血管の拡張、気管及び消化管の筋の収縮、消化液の分泌を促進する。

複合間接(バイパス)法

広範囲に側副血行路を作るため複数の間接法を複数部位に行う術式。前頭部に前頭筋・浅側頭動脈前枝を用いたEMASを側頭部に浅側頭動脈後枝・側頭筋を用いてEDASとEMSを通常施す。

不随意運動

顔面・躯幹・四肢が自分の意志に反して不随意に動くことで、それは規則正しいリズムを持った反復関節運動である。

フルナール(脳血管拡張薬、脳循環代謝改善薬)

脳の血液の流れを良くする薬。

PET(ポジトロンCT)

脳血流の測定に加え脳の酸素消費量やグルコース消費量を測定する装置(陽電子を放出する核種を用いている)この測定は、手術の適応や効果の測定に役立つ。

片頭痛

原因ははっきりしていないが、頭皮を栄養している外頚動脈が拡張することによって起こる血管性頭痛で、閃光、暗点などの前駆症状をみることがあり、拍動に一致したズキンズキンという痛みが数時間から2日間くらいにわたって持続する。

ポンタール(解熱・鎮痛剤)

痛みを和らげ、炎症を抑える薬。

ま~わ行

麻痺

神経や筋肉の正常な働きが止まり、自分の意志で動かすのが不自由になった状態。

ミグシス(片頭痛治療剤)

中枢神経に作用して頭痛を和らげる薬で、脳血管に対して収縮抑制作用を持つカルシウム拮抗剤。

ミグリステン(片頭痛治療剤)

中枢神経に作用して頭痛を和らげる薬。

毛細血管

動脈と静脈とをつなぐきわめて細い血管で、血液と組織の間でのガス(酸素、炭酸ガス)や栄養、老廃物の交換を行っているところ。毛細血管は、壁が内皮細胞の1層だけでできている。

網膜

網膜は眼球(硝子体)の壁の最内層をなす、目の機能にとって最も重要な薄い神経組織層。

もやもや血管

正常血管に見られるような内膜、中膜、外膜といった細胞組織を持たない血管で、狭窄が起こった血管の代償として発達した側副血行路。特にもやもや病で顕著に見られる。

有酸素運動

軽めのジョギング、早足のウォーキング、水泳等の、酸素を体内に取り込むことで血液の循環を高め、心肺機能(全身持久力)を向上させるトレーニング、スポーツのこと。

類もやもや病

動脈硬化、自己免疫疾患、髄膜炎、脳腫瘍、ダウン症候群、レックリングハウゼン病、頭部外傷、頭部放射線照射等の、もやもや病と似たような症状や画像所見を示す脳血管狭窄の原因が明らかな疾患。

レックリングハウゼン病

思春期頃から全身に多発する神経線維腫、カフェオレ斑と呼ばれる褐(多発性神経線維腫症)色の色素斑、脊椎側弯症などの骨病変、その他にも眼病変、神経腫瘍など多彩な症候がみられる優性遺伝性疾患。

ワーファリン(抗凝血剤)

血液を固まりにくくする作用(血液凝固阻止作用)が強力で、血栓症の予防と治療に使われる。