消化器外科

概要

胃、大腸、直腸、胆嚢、鼠径ヘルニアを中心に腹部全般と内分泌(甲状腺)の治療や手術を行っています。

麻酔管理(全身麻酔+硬膜外麻酔、全身麻酔、腰椎麻酔)の年間手術症例数は2016年度が184例、2017年度が143例、2018年度が144例です。

学会認定

日本外科学会 外科専門医制度関連施設

日本消化器外科学会 専門医関連施設

九州内視鏡下外科手術研究会 施設会員

当院での研修で各学会専門医取得、維持が可能です。

特長

  • 消化器外科専門医を取得した常勤医師3人で2018年度は、172例(全身麻酔+硬膜外麻酔、全身麻酔、腰椎麻酔、局所麻酔)の手術を行なっております。
  • 消化器外科医師だけでなく他科(消化器内科、放射線科、)の医師や放射線技師、検査技師との連携が整っており、消化器疾患全般に対して迅速かつ正確に診断、治療方針の決定が可能となり、手術症例に対しては麻酔科、手術室スタッフと協議のうえ安全に対応できるようになっております。
  • 小さい傷口からお腹の中に腹腔鏡を差し込んで手術を行う腹腔鏡下手術に積極的に取り組んでいます。身体への負担が少ない低侵襲手術ですので、早期退院も可能となります。腹腔鏡手術は個人の技術だけでなくチーム力が問われる手術です。常勤医師(固定チーム)で2016年度は112例、2017年度は102例、2018年度は94例の腹腔鏡手術を行っております。
  • 癌治療では放射線科、看護部、薬剤部とチーム医療体制を取り、放射線治療や化学療法を
    行っています。また、当院緩和ケア病棟や地域医療と連携して、緩和医療を行なっております。

胃の治療

早期胃癌については腹腔鏡下手術を行っており、2016~2018年度で 腹腔鏡下胃切除19例、腹腔鏡下胃全摘8例行っています。いずれも腹腔鏡補助下(切除、吻合は体外操作)ではなく完全鏡視下(切除、吻合も体内操作)で手術を行っています。進行胃癌については胃癌ガイドラインに従って開腹手術を行っています。非常に進行した胃癌症例に対しては、腹腔鏡検査を行い明らかな腹膜播種がないことを確かめた後に抗癌剤治療を行い、腫瘍を縮小させ微小転移を制御してから手術を行っております。
胃粘膜下腫瘍である胃GISTに対しては 腹腔鏡下胃局所切除を行っております。特に胃の入口や出口付近に局在するGISTを切除する際には、術後の胃の変形を最小限にするために腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS)を行っております。これは、腹腔鏡で手術を行うと同時に、胃カメラを使用して胃の中からも同時に腫瘍を観察 切除する難易度が高い手術です。2016年度には2例を安全に行っております。
良性疾患の胃・十二指腸潰瘍では、緊急手術も含めて腹腔鏡手術で対応しています。

大腸直腸の治療

大腸直腸癌に関しては、2018年度は、79%を腹腔鏡下手術で実施しており、大腸癌治療ガイドラインに従って、癌周囲のリンパ節を取り除くリンパ節郭清(2~3群リンパ節郭清)を行っています。特に肛門近くに病巣があるような高難度手術(直腸超低位前方切除術や、内肛門括約筋切除術)は腹腔鏡手術が適している症例が多く、積極的に行っております。2018年度からは下部直腸癌に対して腹腔側と肛門側両方から腹腔鏡を使用して直腸切断術を行っております。この手術は、骨盤の狭い男性、前立腺肥大併存症例、巨大腫瘍に対して有効である一方、特殊で難易度の高い技術を要します。そこで、他施設から指導医を招聘して安全に配慮しながら行っております。
腸閉塞(腫瘍が大きくて便が通らない)症例は、下部直腸以外の閉塞であれば大腸カメラを使ってステント(閉塞部位を拡げる処置)を閉塞部位に留置して便の通りを良くしてから腹腔鏡手術を行なっております。また、周囲組織へ浸潤した症例や肝臓転移や膀胱などへの局所浸潤の著しい大腸直腸癌に対しては、抗癌剤治療を行い、腫瘍を縮小させ微小転移を制御してから根治手術を行っています。
特に膀胱や尿管、前立腺に浸潤した症例は泌尿器医師と連携して安全に手術を行っております。

胆嚢の治療

良性の胆嚢疾患(胆嚢結石、急性胆嚢炎、胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋腫症など)では腹腔鏡下胆嚢切除術が標準となっております。

その他の治療

  • 鼠径ヘルニア
    2016年〜2018年度の3年間の手術症例は128例でそのうち91例を腹腔鏡下で手術を行っております。
    従来の前方からアプローチ(大きく鼠径部にメスをいれる)する手術に比べて弱くなった筋肉にメスをいれることなく修復できて、術後疼痛が少ないことが大きな利点です。
    腹腔鏡手術は、腹腔内アプローチ(以下TAPP)と腹膜を開放しない腹膜外アプローチ(以下TEP)の2通りありますが、当院では両方の手術を使い分けております。
    TAPPは術中診断に長じており、ヘルニアの分類や両側の診断が容易にできます。術前に片側であっても実際は両側ということも多々あります。当院のデータでは、術前診断が片側でも腹腔鏡で観察すると両側存在している頻度が30%でした。潜在的両側鼠径ヘルニアに腹腔鏡手術を行うことによって約3割の患者様が1回の手術で済むこととなります。
    また、初期の鼠径ヘルニアのために鼠径部に膨隆を認めない鈍痛だけの症状に対しても的確に診断治療できます。再発症例に対してはTAPPを第一選択としております。
    TEPはTAPPに比べて手術時間が短いですが、術中診断がTAPPに比べて幾分劣りますので、当院では腹腔鏡を腹腔内に一度挿入してきちんと診断してからTEPを行っております。
  • 急性虫垂炎
    ほぼ全例に腹腔鏡下虫垂切除を行っております。特に肥満症例や虫垂が背側に転位して癒着した症例は、開腹手術に比べて手技が容易です。
    膿瘍を形成したような虫垂炎に対しては 抗生剤で感染の鎮静化を図り、炎症をコントロールできた症例に対して 数か月後に腹腔鏡下で虫垂切除を行っております。
  • 癒着性腸閉塞
    イレウス管で減圧のうえ腹腔鏡で観察して、癒着の状態によっては腹腔鏡下で癒着剥離を行います。
  • 甲状腺疾患
    損傷すると嗄声や気道閉塞となる反回神経という大事な神経を術中に同定する特殊な機械を使用しながら手術を行っております。
  • 比較的発生頻度が低い疾患、病態
    小腸腫瘍(小腸癌、GIST、悪性リンパ腫、転移性小腸癌)や後腹膜腫瘍(脂肪肉腫、傍神経節腫)、閉鎖孔ヘルニアなど幅広く経験しており、下記の通り学会、論文報告を行っております。

学会報告

  • 2018年11月  第16回日本消化器外科学会大会

    『動脈塞栓療法後に腹腔鏡補助下腫瘍切除を行った後腹膜脂肪肉腫の1例』
    池添清彦、田中亮介、山口方規、磯本浩晴、小野研、山口彩子、徳永蔵、

  • 2017年11月  第79回日本臨床外科学会総会

    『十二指腸転移をきたした上行結腸癌の1例』
    田中亮介、新上浩二、馬場活嘉、山方伸茂、宇治祥隆、久留裕、徳永美喜、高尾貴史

  • 2017年11月  第72回大腸肛門病学会学術集会

    『PDM(Persistent Descending Mesocolon)に合併したS状結腸癌に対して腹腔鏡下手術を行った1例』
    池添清彦、山口方規、磯本浩晴、徳永蔵

  • 2017年10月  第45回日本救急医学会総会学術集会

    『腹腔内の癒着が原因と考えられる胸骨圧迫後肝損傷の1例』
    山口方規、宇治祥隆

  • 2016年7月  第71回日本消化器外科学会総会

    『膵頭十二指腸切除術におけるソマトスタチンアナログ術後予防的投与の効果についての検討』
    山口方規、徳永美喜、新上浩二、馬場活嘉、宇治祥隆、池添清彦、高尾貴史

  • 2015年9月  第40回日本大腸肛門病学会九州地方会

    『閉鎖孔ヘルニア25例の検討』
    池添清彦、磯本浩晴、小林慶太、山口方規、石見雅人、高尾貴史、宇治祥隆、馬場活嘉
    新上浩二、徳永美喜、石見拓人

  • 2014年10月  第27回日本内視鏡外科学会総会

    『腹壁瘢痕ヘルニア用Meshを用いて腹腔鏡下に修復を行った巨大食道裂孔ヘルニアの1例』
    奥村憲二、馬場活嘉、田中政治、池添清彦

  • 2014年10月  第27回日本内視鏡外科学会総会

    『当科における腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPPvsTEP)の比較検討』
    馬場活嘉、新上浩二、宇治祥隆、奥村憲二、池添清彦

  • 2013年4月  第113回日本外科学会総会

    『当院における下部直腸癌に対する術前化学放射線療法の治療実績に関する検討』
    奥村憲二、馬場活嘉、池添清彦、小林慶太、酒井拓、原一生、高尾貴史、本間憲一
    大曲淳一、磯本浩晴

  • 2013年7月  第68回日本消化器外科学会総会

    『当院における術前後に化学療法を施行したstageⅣ胃癌症例検討』
    奥村憲二、酒井拓、池添清彦、小林慶太、原一生、増成曉、本間憲一

  • 2012年10月  第10回日本消化器外科学会大会

    『診断に苦慮した多房性巨大脾嚢胞を合併した膵尾部癌の1例』
    奥村憲二、酒井拓、池添清彦、小林慶太、原一生、本間憲一、増成曉

  • 2012年7月  第67回日本消化器外科学会総会

    『下部直腸癌における術前化学放射線療法、及び側方郭清による膀胱機能障害、性機能障害の発現に関する検討』
    奥村憲二、池添清彦、小林慶太、本間憲一、磯本浩晴、原一生、酒井拓、大曲淳一
    高尾貴史、馬場活嘉

  • 2011年11月  第36回日本大腸肛門病学会九州地方会

    『原発性回腸癌の1切除例』
    池添清彦、奥村憲二、小林慶太、本間憲一、磯本浩晴、原一夫、徳永蔵

  • 2010年11月  第35回日本大腸肛門病学会九州地方会

    『原発性小腸癌の1切除例』
    池添清彦、本間憲一、小林慶太、磯本浩晴

  • 2010年11月  第72回日本臨床外科学会総会

    『小腸gastrointestinal stromal tumorによる成人腸重積症の1例』
    池添清彦、本間憲一、磯本浩晴

  • 2009年5月  第46回九州外科学会総会

    『伝染性単核球症に脾破裂、DICを合併した1例』
    山口圭三、池添清彦、本間憲一、磯本浩晴、入江康司、有馬文統、小野研

  • 2009年5月  第46回九州外科学会総会

    『FDG-PET検査で陰性となる大腸癌の特徴』
    山口圭三、丹後泰久、池添清彦、本間憲一、田中政治、磯本浩晴、吉田毅

  • 2007年11月  第69回日本臨床外科学会総会

    『後腹膜原発無症候性傍神経節腫の1例』
    池添清彦、丹後泰久、本間憲一、磯本浩晴

  • 2007年11月  第69回日本臨床外科学会総会

    『消化器癌検診としてのPETの有用性の検討』
    丹後泰久、池添清彦、本間憲一、湯澤宏之、高尾貴史、草野敏臣、磯本浩晴

論文報告

  • 山口方規、田中亮介、池添清彦

    腹腔鏡下胆嚢摘出後15日目に発症した遅発性胆管損傷の1例
    臨床と研究(1)2018年

  • 山口方規、池添清彦

    幽門側胃切除、Roux-en-Y再建術後に内ヘルニアを発症した2例
    臨床と研究(9)2016年

  • 山口方規、池添清彦、新上浩二、馬場活嘉、宇治祥隆、高尾貴史

    ステント併用コイル塞栓術を施行した肝切除術後胃十二指腸仮性動脈瘤の1例
    日臨外会誌77(4)2016年

  • 奥村憲二、石見雅人、馬場活嘉、本間憲一、田中政治、池添清彦

    新しい腹壁瘢痕ヘルニア用Meshを用いて腹腔鏡下に修復を行った巨大食道裂孔ヘルニアの1例
    臨床と研究 (12)2015年

  • 丹後泰久、宇治祥隆、池添清彦、高尾貴史、本間憲一、磯本浩晴、入江康司

    予後不良であった同時肝移植を伴うS状結腸内分泌細胞癌の1例
    臨床と研究(9)2015年

  • 池添清彦、磯本浩晴、小林慶太、奥村憲二、馬場活嘉、石見雅人、徳永蔵

    膵原発ソマトスタチン産生神経内分泌癌の1例
    臨床と研究(5)2015年

  • 池添清彦、石見雅人、馬場活嘉、奥村憲二、本間憲一、小林慶太、田中政治、磯本浩晴、丹後泰久、  蒲池正顕、徳永蔵

    後腹膜原発傍神経節腫の1例
    臨床と研究(4)2015年

  • 池添清彦、石見雅人、馬場活嘉、奥村憲二、本間憲一、小林慶太、磯本浩晴、原一生、入江康司

    原発性小腸癌の2切除例
    臨床と研究(3)2015年

  • 酒井拓、奥村憲二、原一生、池添清彦、中村弘毅、入江康司

    多房性巨大脾嚢胞を合併した脾尾部癌の1例
    臨床外科70(3)2015年

  • 池添清彦、馬場活嘉、山口圭三、本間憲一、田中政治、磯本浩晴、入江康司

    小腸gastrointestinal stromal tumorによる成人腸重積症の3例
    臨床外科66(10)2011年

  • 山口圭三、池添清彦、本間憲一、磯本浩晴、入江康司

    伝染性単核球症に脾破裂、DICを合併した1例
    日臨外会誌71(9)2010年

症例

消化器外科 手術実績(2018年度)

 

●全身麻酔症例、全身麻酔+硬膜外麻酔症例 143例

143例の内訳は下記の通りです。

  

   

         

病名 腹腔鏡手術 開腹手術 合計
胃癌 3例 38% 5例   8例
上部消化管狭窄(悪性疾患) 1例   2例   3例
大腸・直腸癌 27例 79% 7例   34例
小腸癌     1例   1例
S状結腸憩室炎 1例   1例   2例
胆嚢良性疾患(早期胆嚢癌含む) 33例 87% 3例   36例
鼠径ヘルニア 24例 75% 8例   32例
腸閉塞     3例   3例
急性虫垂炎 3例       3例
腹壁瘢痕ヘルニア 1例   3例   4例
臍ヘルニア     2例   2例
上部消化管穿孔 1例       1例
下部消化管穿孔     1例   1例
その他         14例
合計 94例 65% 50例

   

144例

 

下記はそれぞれの手術の内訳です。

胃癌  8例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下胃切除                   1例
腹腔鏡下胃全摘                   2例
3例

胃切除                                    2例
胃全摘                                    2例
残胃全摘                                 1例

5例

 

上部消化管狭窄(悪性疾患)  3例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下胃空腸吻合                          1例 胃空腸吻合 2例

 

大腸・直腸癌 34例

腹腔鏡手術 開腹手術

腹腔鏡下 回盲部切除                 4例
腹腔鏡下 右結腸切除                 1例
腹腔鏡下 右半結腸切除              5例
腹腔鏡下 左半結腸切除              1例
腹腔鏡下 下行結腸切除              1例
腹腔鏡下 高位前方切除              8例
腹腔鏡下 低位前方切除          2例
腹腔鏡下 直腸切断術             5例

27例 回盲部切除(回復移行例1例含む)    2例
右半結腸切除                             1例
横行結腸切除                             1例
S状結腸部分切除                        1例
ハルトマン手術                          2例
(S状結腸直腸切除+人工肛門造設)
7例

 

小腸癌  1例

腹腔鏡手術 開腹手術
                  空腸切除 1例

 

S状結腸憩室炎  2例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下 高位前方切除     1例 S状結腸部分切除      1例

 

胆嚢良性疾患(早期胆嚢癌含む)   36例

腹腔鏡手術 開腹手術
 腹腔鏡下胆嚢切除  33例

胆嚢切除                      1例
(開腹移行例)
胆嚢切除+総胆管切開                 2例

3例

 

鼠径ヘルニア 32例

腹腔鏡手術 開腹手術

腹腔鏡下ヘルニア手術
(片側16例 両側8例)

24例 前方アプローチ     
(大腿ヘルニア根治術1例含む)
8例

 

腸閉塞   3例

腹腔鏡手術 開腹手術
  腸閉塞解除術(小腸切除なし)       2例

 

急性虫垂炎  3例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下虫垂切除術    2例
腹腔鏡下膿瘍ドレナージ  1例
3例    

 

 

腹壁瘢痕ヘルニア  4例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術    1例 腹壁瘢痕ヘルニア根治術   3例

 

 

臍ヘルニア  2例

腹腔鏡手術 開腹手術
             臍ヘルニア根治術       2例

 

上部消化管穿孔  1例

腹腔鏡手術 開腹手術
腹腔鏡下大網充填術         1例            

 

下部消化管穿孔  1例

腹腔鏡手術 開腹手術
            腹膜炎手術 人工肛門造設        1例

 

その他  14例

腹腔鏡手術 開腹手術
            ストーマ閉鎖造設など       14例

 

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